このブログでは、「家具でお困りの全ての方の、心、判断の基準の助けになる、リアルで有用な情報」を書かせていただいています。
家具の買い替え、家具の修理、とりわけテーブルの塗り替えや椅子の張り替え、椅子のぐらつき直し、椅子の塗装、箪笥や食器棚の蝶番の修理、ソファの張り替え、ソファの座面内のクッションの入れ替え、リメイクなど、幅広い守備範囲と経験、知識、でお客様をサポートさせていただいております。
毎日10件前後のお問い合わせをいただき、皆様の疑問、質問にお答えしています。そのリアルな情報を、できる範囲で皆様にご提供してまいります。家具修理ご検討の一助になれば幸いです。
家具修理ではなく「リメイク」のご依頼が多い理由
さて、リペアだけではなく、「リメイク」のご依頼が多いのがこの理由「ご親族が大切にしていたものだから面影を無くしたくない」です。先日のブログでもお話いたしましたが、家具は「道具」です。しかし道具であってもそこにその家具を大切にしていた「人」の姿を重ね合わせているのですね。とても素敵なことですし、その想いを胸にお問い合わせをいただくと、そこは私も人間ですから、がぜんやる気が出て、燃えちゃうんですよね(;^_^A
ここでやはり再度「道具」である、ということでの現実に直面します。
「おばあちゃんが大切にしていて、いろんなもの作ってくれたミシン。よくネットでも見る、アンティークミシンで価値がありそうだけど、私ミシンの使い方すら知らないしな。。。。」
「嫁入り道具に持たせてもらった洋服箪笥。新築で建てた家にはクローゼットがあるので、使うあてもなく、処分する訳にもいかず困っている。クローゼットの中に入れて使うので、サイズダウンできないか。。。」
「学習机、子供も独立して家を出たからもう使うことはないけど、捨ててしまうと、子供との思い出や記憶まで捨ててしまう気がして捨てられないのよね。。。。」
このようなお話、お気持ち、お悩みをお聞きします。ホント見ての通り、皆さま家具の向こうにいる「だれか」に思いを馳せて、身動きが取れなくなっているのです。素敵なことだけど、苦しいことですよね。
そこで、私どもの出番です。申しましたように道具は生活を便利に豊かにするものです。その道具を、受け継ぐお客様の暮らしにフィットするようにアレンジすることが僕たちに課せられたお題です思案することも楽しいですし、燃えるお仕事です。
家具リメイクの実例紹介
アンティークミシン → リモートワーク向けデスクに
一つ目のアンティークミシンなどは、世間一般にも、お客様も、その面白さや美しさ、価値を感じているのは脚の部分です。
この脚をご自宅でのリモートワークで使用するデスクにリメイクするのです。ミシンについてはやはり処分をすることになりますが、ミシン屋さんが部品取り用に引き取ってくれる場合もありますし、おばあちゃんが踏んでたリズミカルな足踏みの印象が強いので、脚を残すのがいい!ということと、意匠的な良さで、脚を再利用してデスクにしたい、というご要望が多いのです。こんな感じに^^

お客様にはとても喜んでいただき、今も大切にお使いいただけていることと思います。
嫁入り箪笥 → サイズダウンは可能か?
次に洋服箪笥のリメイクのご依頼の件でした。あるお奥様からのご依頼でした。
「嫁入り道具に持たせてもらった洋服箪笥を小さくサイズダウンして、クローゼットの中に箪笥を入れられるようにしてほしい」
私は「え???」マトリョーシカ???という感じでした。
そもそもクローゼットは収納であり、その中に収納するための箪笥を入れるなんて、箱の中に箱を入れているようなもの。そもそも洋服箪笥はサイズダウンをする想定で作られていませんし、刃物を入れれば塗装に傷がつくリスクも十分あります。コストもかなりかかりますし、強度的なリスクも生じます。
私は次のようにご提案いたしました。「お気持ちはわかりますが、お母さまにご相談されて、処分を検討されてはいかがでしょうか?」と。
お客様からすると「え?私が何のために費用をかけてまであなたに相談をしているのか分かっていますか?」という感じでしょうか?
私は続けました。「私にも高校生と大学生の娘がおります。まだ嫁に行かせた経験はございません。しかし、嫁に行く娘に、何か家財道具をもたせたい、という気持ちは十分に理解できます。それも一つの親の務めであり、それを果たせばホッとする感覚もあるかもしれません。ある意味親の自己満足なのかもしれません。でも、もし自分が持たせた家財道具を持て余し、悩んで困っているようであれば、「それなら処分すればいいよ」とすぐに伝えると思います。何か持たせることは子供の幸せや快適な暮らしを願ってのこと。そうでないなら、積極的に手放すことを進めてあげたいというのが親の気持ちです。○○様のお子様も大きくなられて、嫁入り道具を持たせる日が来て、また困っている日が来たら、同じように言ってあげるのではないですか?ものを大切にすることも大事ですが、何より、ご両親を思ってそれだけ悩まれていることに価値があるし、ご両親も、そんな○○様の気持ちを知れば、とても嬉しいと思いますよ。「優しい子に育って、私たちの子育ては間違っていなかったわね。」と思ってくれると思います。」とお話いたしました。
○○様は「そうですね。持て余して少しでも邪魔に思ってしまうことの方が可哀そうだし、素直に相談してみます!相談して良かったです。ありがとうございました。」と仰っていただきました。その後どうされたのかは存じ上げません。この件における私のお仕事は、お客様の解決に向けての考え方の幅を広げて差し上げたことです。いい解決に向かわれていることを願っています。
この件では、家具クリニックとして売り上げは立っていません。しかし、お客様の想いを、悩みを解決するために時に技術は必要ないこともあると思っています。大切なのはお客様のお悩みに共感して、解決に向かっていくこと。これも、数えきれないくらいの修理やリメイクを通じてのお客様との会話が、次のお客様の解決策を教えてくれるのだと思っています。とても嬉しい案件でした。
学習机 → モダンなワークデスクへ
最後に学習机のリメイクです。ある奥様からのご依頼でした。「子供も大きくなって巣立ち、独立して家にはいないのでデスクも使い道がありません。でも、デスクを処分すると、子供の日々の思い出や歴史を捨ててしまうようで、処分できずに困っています。リモートワークも多いので、私のワークデスクにリメイクできないか」というご相談でした。
学習机は学習机然としているから、リメイクが難しいケースが多いのは事実です。丸みを帯びて子供らしいデザインにしてあります。今回は、天板はそのまま残し、脚を撤去して、代わりに黒のスチールの角パイプでフレームを作り、モダンなワークデスクにリメイクすることにしました。
お客様にはとても喜んでいただきました。
私が想像するに、お子様一番触れていたのは天板です。宿題をしたり、絵を描いたり、本を読んだり、漫画を読んでさぼったり、時にはラブレターなどを書いていたこともあるかもしれません(笑)父の日や母の日に、お手紙を書いていたこともあるでしょう。その一番触れていた天板を大切に残し、またお母様が逆に継承されることが、とても素敵なことだな、と思いました。
家具の向こうにある「だれか」の存在
これまでのケースで共通していることは全て、「モノの向こうに『だれか』を感じている」ということです。これがとても大切なポイントだと思っています。
人を大切にする人はモノを大切にする。モノを大切にする人は人を大切にする。
私どもも、たかだか20年程度ですが、家具修理やリメイクに取り組んできて感じていることです。これを大切にしていくために職人の技術があるのだと思っています。時には技術を使わないこともあります。その時は、修理やリメイクを通じて、数えきれないお客様との会話や解決が、次のお客様の課題解決につながるある意味「技術」のようなものなのなのかな、と感じたりします。
これからも一人一人のお客様の、それぞれのお困りごと、お悩み、想いにお応えできるよう取り組んでいきたいと思います。どんな些細なことでも結構です。いつでも御連絡ください。楽しみにお待ちしております。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。ではまた次回に。

