ご依頼の多い家具修理TOP10|⑨ソファのカバーリングのカバーの製作

このブログでは、「家具でお困りの全ての方の、気持ち、判断の基準の助けになる、リアルで有用な情報」を書かせていただいています。

家具の買い替え、家具の修理、とりわけテーブルの塗り替えや椅子の張り替え、椅子のぐらつき直し、椅子の塗装、箪笥や食器棚の蝶番の修理、ソファの張り替え、ソファの座面内のクッションの入れ替え、リメイクなど、幅広い守備範囲と経験、知識、でお客様をサポートさせていただいております。

毎日10件前後のお問い合わせをいただき、皆様の疑問、質問にお答えしています。そのリアルな情報を、できる範囲で皆様にご提供してまいります。家具修理ご検討の一助になれば幸いです。

桜も満開となり、種類によってはもう葉桜になっていますね。もっと花を見ていたい気もしますが、新緑を迎える木々も、それはそれで生命感に満ちていていいかな、と思うので、それぞれの良さを味わいたいと思います^^

さて、今日はソファのカバーリングの製作です。

廃盤ソファはカバーが買えない?購入できない理由と実情

先日納品させていただきました案件は、某イタリアブランドのソファでした。そもそも廃盤商品となっており、メーカーに問い合わせても提供してもらえない、という状況でした。

カバーリングソファをお持ちの方はみなさんご存じかと思いますが、そのモデルを新品で購入された時、ゆくゆく、カバーだけ購入できますよ、とお聞きになってソファを購入されています。

何年か使いますが、少し汚れたくらいでは、ちょっと汚れ落としをして、汚れを薄めたりしながら、なるべく長くお使いになりますよね。それで例えば15年、20年と使ってきて、いよいよ、そろそろカバー買い替えようか、となって、ソファを購入したお店に問い合わせると、

  • メーカーが廃業しました
  • 取り扱いが無くなりました
  • 商品が廃盤になりました

主にはこういう理由で断られてしまうのです。。。。

お客様もびっくり仰天ですよね。。。冷静になって考えてみれば、そういうこともありえるか、と思えるかもしれませんが、新品を購入してから何年も使っている間に、「あ、廃盤になったら困るからカバーを今のうちに買っておこう」なんて、誰も考えませんよね(;^_^Aそんな方がいたら、本当にすごいと思います。

家具も家電もそうですが、商品のリリースと廃盤のサイクルはどんどん早くなっていると思います。長期的には少子高齢化で、消費は縮小していくわけですから、回転を上げなければ継続できない、というのは理解はできます。

しかし、理想を言えば、カバーリングソファを販売しているお店なり、メーカーなり、ブランドは、しっかりと顧客管理をして、廃盤が決定した時点でお客様へアナウンスするべきだな、と思います。現実的には難しいのかもしれませんが。。。。

ソファカバー製作の流れ|ウレタン交換/補充の重要性

では、どうするのか、です。

だから、我々のような一般業者が必要なわけですね。前回のブログでもお伝えしましたが、ソファの表地のカバーというのは、一度全ての縫製を解いて、各パーツにして、それを基に型を取ります。

そして、その型に基づいて生地を裁断し縫製します。カバーリングはソファの底の部分にベルクロ(マジックテープ)で留めることがほとんどですので、そのカバーにベルクロも、元のカバーと同じ位置に同じ大きさで取り付けます。

ここで、やはりウレタンの補充もとても重要なのです。

型を取るための元のカバーは、長年の使用により伸びていることが多いかと思います。たまによくクリーニングをしてきたお客様のカバーは逆に縮んでいることもあります。

伸びているということは、本来のカバーよりも大きくなっているということです。大きくなってしまったカバーを少し割引加減してカバーを製作したとしましても、ソファ本体に仕込まれているウレタンがヘたっていると、容易に想像できるかと思いますが、ブカブカになるということになります。新たに中学生になる男の子の学生服がメチャ大きい、という感じでしょうか。(よくわからんな。。。)(;^_^A

リビングの顔であるソファがその状態では、何のためにカバーを作ったが分からなくなってしまいますので、ウレタンの交換や補充は、地味な部分ですが、非常に重要なのです。

「ウレタン交換/補充は不要」は本当に正しい選択か

メールやLINEでお問い合わせをいただき、カバーリングの製作のご相談への概算提示の際に、ウレタン交換/補充という項目を記載いたしますと、「ウレタンはヘたっていないので省いていただけますか?」というご希望を、よくいただきます。もちろん少しでもリーズナブルにしたい、というお気持ちはとてもよく理解できます。

しかし、もちろん金額も大切なのですが、やはりリビングの顔ですから、ビシッと仕上がらないことには、お金をかける意味がないと思うのです。わずかなコストカットをして、仕上がり品質を大きく落としてしまう。。。。なんと悲しいことか、という感じでしょうか。

お客様が家具修理で後悔しないために

なので、私は、お客様のためを思って、ここは強く進言するようにしております。このブログでも再三申しておりますが、並んでいる品物を買うのと違い、修理は、お客様にはゴールが見えていません。もちろん私は数多くのお仕事をさせていただく中で、頭の中にビジュアルがはっきり浮かんでいます。しかし、その映像をお客様に見せることができません。。。残念ながら。。。

であれば、ビジュアルが見えている者の責務として、見えていないお客様に、自らの責任において、そこは強く進言する責任があると考えているのです。家具修理は、お客様の幸せなゴールのための、お客様との共同作業ですが、同時に、専門家としてお客様の参謀であり、部下ですから、ボスのために働かなければならないと思うのです。逆に、お客様の「安くしてくれ」オーラに簡単に負けて、「お客様が仰ったので」と逃げることは簡単ですし、責任転嫁もできます。「なんかシワが気になりますね。。。」と言われたら、「だからウレタンも必要って言ったじゃやないですか。。。」みたいな。

お客様からしたら、「もっと強く言ってくれてたら、考えたのに」という気持ちになりますよね。

人生でそう何度も無い、家具修理という一大イベントで、新しく修繕された家具を、ウキウキした気持ちで、新たに大切に使い続けて欲しいのに、「ああ、なんか消化不良だな。。。」なんていう気持ちで、ソファを見るたびに「失敗したな。。。。」という気持ちで使ってほしくないのです。

それでもいらない、と言われたら、それは無理強いするものではありませんので、最後はお客様のご意志のままに、という決着にはなりますが、ほとんどのお客様はその進言に、「わかりました。お任せします。」と仰っていただけます。お客様を思って、真剣に伝えたことは、ちゃんと伝わっていると思います。それを受け入れて下さっているお客様の器量に本当に感謝だな、と思います。そのおかげで、自信を持って納品させていただくことができ、気持ち晴れやかに、その日の晩御飯を美味しく食べさせていただいているのですから(笑)(そこじゃないだろ、ですね(;^_^A)

冷静に考えれば、お客様がご覧になるのは、進言通りにウレタンにも手を入れた完成品しかありませんので、逆のウレタンの施工をしなかったものと見比べることができません。ということは、矢野の言うことを聞いて良かったのかどうかは、わかりません。

しかし、そこは、お客様が私を信じて下さっている、ということだと思っています。だからこそ、常に襟を正し、お客様の一点モノの家具を、「One of them」にせずに、一点一点に真剣に向き合って、お客様のために働かなければならない、と思うのです。

人生の家具修理イベントに関わる責任

心ゆたかな人生、成功と言える人生には、良い医者と良い弁護士と良い税理士が必要だ、なんていうことを聞きます。しかし、家具を使っていない人なんて、世の中に一人もいない訳ですから、良い人生のためには、良い家具ディレクターも必要だから!という想いで取り組んでいます。

たかが家具です。修理イベントが終わったら、私どもの存在は、次の瞬間には忘れられています。でも、それでいいのです。忘れられるということは、うまくいったということです。うまくいかなかったら、毎日目にする家具を見るたびに思い出して嫌な気持ちになります。忘れられることが成功です。

しかし、いざ困った時に、ふと家具クリニックや、矢野を思い出していただくことができて、またWEBで検索していただけること、その時に家具クリニックのサービスが廃業することなく継続していることが、本当に大切なんだと思っています。私もいつかは引退しますから、その時はどうしようかな。。。なんて、この年になると考えることも増えてくるのですが(笑)

今は、目の前のお客様、目の前のお仕事、1人1人、一つ一つにきちんと向き合い、自分の経験や知識、考えをお客様のために総動員していきたいと思います。

カバーの話から脱せしてしまいましたね(;^_^A この暑苦しさも含めて家具クリニックだということで、お許しくださいませ(;^_^A

では今日はここまで。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また次回お会いしましょう~

ではでは。

この記事を書いた人

家具クリニック 矢野

リペアディレクター。直すが良いか、買い替えが良いか、専門家が正直にお答えします。家具を直す=心を治す。京都出身。商社・木工学校を経て現職。何はさておきお仏壇に合唱。二人の娘が”元気の源”。甘いものさえあれば生きていける。