このブログでは、「家具でお困りの全ての方の、心、判断の基準の助けになる、リアルで有用な情報」を書かせていただいています。
家具の買い替え、家具の修理、とりわけテーブルの塗り替えや椅子の張り替え、椅子のぐらつき直し、椅子の塗装、箪笥や食器棚の蝶番の修理、ソファの張り替え、ソファの座面内のクッションの入れ替え、リメイクなど、幅広い守備範囲と経験、知識、でお客様をサポートさせていただいております。
毎日10件前後のお問い合わせをいただき、皆様の疑問、質問にお答えしています。そのリアルな情報を、できる範囲で皆様にご提供してまいります。家具修理ご検討の一助になれば幸いです。
「新しく家具を買って失敗したくない」という想いが生まれる背景
さて、今回のテーマ「新しく家具を買って失敗したくない」というお客様の家具修理ご検討のワケです。ある意味、今の時代を反映しているのではないか、と思っています。
高度経済成長期で人口も増加し、国が大きく成長していく、所得もどんどん上がっていく、という、「希望」や「期待」があれば、「失敗の許容」は容易です。もし買い物に失敗したら、誰かに譲るなり、廃棄するなりして、新たに購入し直せばいい。良いか悪いかは別にして。
しかし、自分の所得がこれから増えていく、という期待も持てないし、人口も減少しているから外部環境的にも期待が持てない。限られた可処分所得の中で何とか予算を組んだものの、その買い物で失敗するのはダメージが大きい。
世の中全体がそういう空気感に包まれていて、いわゆる「肉食的消費」がかなり減退しているように思えます。
家具修理を検討されるお客様像と、買い替えに感じる高いハードル
私どものお客様は、先のブログでも書かせていただいたかもしれませんが、ご結婚の際や自宅購入の際に家具を購入されて20年~40年経過した家具をお持ちの方々です。ご年齢的にもほとんどの方が60代以上、という感じです。当然、これからどんどん所得が増える、というお客様ではなく、年金や、これまでの貯蓄、資産運用からの配当など、ストックから捻出することになりますので、やはり、高額な買い物には、当然慎重になります。
これまでの生活を支えてきてくれたサポーターと呼ぶのか、同士と呼ぶのか、使い慣れてきて、愛着のあるものを手放し、新たなものを購入する、というのは相当ハードルが高い、とお感じなのではないかと思います。
当時はいわゆる安価な家具はほとんどなく、上質で高額な家具を、一大決心して購入されていますから、モノも良い。確かに今どきは、安価でおしゃれな家具は売られているが、お客様がお持ちの家具と比べると質の面で劣る、ということは理解されています。
限られた予算の中から捻出して、家具に対して何がしかのアクションを起こし、暮らしが快適になるよう改善するためのコストをかける、というのは、本当に慎重になりますし、失敗が許容できないちょっとした恐怖のようなものをお感じなんだろうな、と想像しています。買い替えて失敗するくらいなら、使い慣れてきたこの家具を修理してもう一度使い続けたい、という結論に至るお客様が、私どものお客様、ということになります。
家具修理はゴールが見えない決断|それでも選ばれる理由
これは一件消極的決断に見えるかもしれません。しかし、私はそうは思いません。買い替えの場合はお店に行き、あるいはネットで情報を集めることで、「自分がお金を払えば、どのような便益が得られるのかが可視化されている」と言えます。当然ですね。お店に行けば、目の前に買える家具が展示されていますし、それが家に来たら、どのようなインテリアになるのか、想像することもできる。最近では部屋の写真があれば、VRなどで部屋に置いた感じも映像で見せてくれるサービスもあります。
しかし、『修理はゴールが見えません』。
食卓の椅子をこの生地で張り替えたらどんな感じになるのか、テーブルを塗り替えたらどんな感じになるのか
この箪笥をリメイクして収納箱にしたらどんな感じになって、どんなイメージになるのか
中には明確に想像されて、私どもに御用命いただける場合もございます。しかし、普通はそんなことはありません。わかっていることは大きさやデザインがご自宅にマッチしていて、使い心地も身をもって経験している。ソファなどのクッションがヘタっていたりすると、「新品の時の座り心地はどうだったかな。。。」と思い出せないことも当然あります。しかし、使い心地というのは、座ったり、触ったりももちろんそうですが、その空間にデザイン的にも、寸法的にも、用途的にも、ぴったりフィットしていることも含めて、使い心地と言える、と考えています。
家具修理を任せる相手に求められること、そして私たちの覚悟
ゴールが見えない、決断。とても勇気がいる。これを後押ししてくれるのが、これまでずっと使ってきた家具、という経験ともう一つ、信頼できる専門家に相談できるか、ということだと思っています。
- 経験値(多くの施工件数と、多くのお客様の声を持っているか)
- 知識(素材や技術等、当然持っていると期待しているものをきちんと持っているか)
- 誠実(意図しない結果になった時に逃げないか)
- 共感(自分の家具をOne of themにせずに真剣に自分事として取り組んでくれるか)
- 人柄(親切に、真摯な気持ちで寄り添ってくれるか)
- そして、そもそも家具が好きか
ということが大切なのではないかと思っています。
買い替えにしても、修理にしても、やはり、失敗のリスクは多分にあります。もちろん提供側も失敗をしようとして提供しているわけではありません。
家具の買い替えは、失敗したら、返品もできますし、買い直すこともできます。
しかし修理は一発勝負です。たった一つの、かけがえのないお客様の大切な家具です。リカバリーのきく施工も確かに多々あります。しかし、失敗したら終わり、という施工もたくさんあります。
だから私どもは真剣です。予想されるリスクもたくさん説明します。お客様によってはそのことによって不安が増大して諦める方も現実的にいらっしゃいます。しかし、お客様と私どもが、同じ思いで取り組み、一緒にゴールを目指すことができ、そこに職人の技術が加われば、必ずや理想のゴールに到達できると信じて取り組んでいます。「金を払えばちゃんとサービスしてくれるんでしょ」という他人任せなお客様とはいいゴールを目指せません。「とにかく安ければどこの業者でもいい」というお客様とも一緒にゴールは目指せません。
「お客様と家具修理事業者が、一緒にゴールを目指す」のです。私どもはあくまで、お客様のサポーターであり、伴奏者であり、コンシェルジュなのだと思っています。
最後に|家具修理を通じて、暮らしに寄り添いたい
お客様の暮らしが、またトキメキのある素晴らしい毎日になるように、または、普段は意識しないが無くてはならない空気のような存在になれるように、私は自分の知識と経験をフル動員してサポートしたいと思っています。逆に言うと、そうしてあげたい、と思うお客様のお仕事しかお受けしておりません。
大変失礼な言い方ですが、お客様を「可愛い」と思えるかどうか、がとても大事だと思っています。「どうにかしてあげたい!」と思わせてください (笑)
いつの日か、読者の皆様のお困りごとを解決できる日が来ることを、とても楽しみにしています。
既にご利用いただいたお客様、信頼していただき、またただの業者である私どもを大切にしていただき、本当にありがとうございます。
何度もご利用いただいているお得意様、いつもごひいきに誠にありがとうございます。その信頼に応え続けられるよう、日々精進してまいります。
今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。また次回お会いしましょう。
それではまた。

