このブログでは、「家具でお困りの全ての方の、心、判断の基準の助けになる、リアルで有用な情報」を書かせていただいています。
家具の買い替え、家具の修理、とりわけテーブルの塗り替えや椅子の張り替え、椅子のぐらつき直し、椅子の塗装、箪笥や食器棚の蝶番の修理、ソファの張り替え、ソファの座面内のクッションの入れ替え、リメイクなど、幅広い守備範囲と経験、知識、でお客様をサポートさせていただいております。
毎日10件前後のお問い合わせをいただき、皆様の疑問、質問にお答えしています。そのリアルな情報を、できる範囲で皆様にご提供してまいります。家具修理ご検討の一助になれば幸いです。
家具がグラグラしてくる理由
みなさんこんにちは。
寒い日が続きますね。。。。
お体お変わりなくお過ごしでしょうか?
家具のメンテナンスも大事ですが、何より体の健康です。暖かいお部屋で、温かいものを食べて、温かいお風呂に入って、乗り切っていきましょう~。
さて、今日は椅子のぐらつきや脚折れについてです。これも本当に多いご依頼です。
特に椅子もそうなのですが、例えばテーブルであっても、タンスであっても、使っていた家具がグラグラしてくることは、普通に起こることです。
何故こうなるのかは明白で、どの家具もほぼ例外なく、パーツとパーツの組み合わせで出来上がっているからです。
つまり接合部がたくさんあるから、その部分の接着剤が劣化したり、木と木の接合部分が乾燥でやせて縮んだりすることでグラグラしてくるのです。
問題は、グラグラしていても、だましだまし何とか使えていることです。それほど緊急性を感じるものでもありませんし、使えるからこそ「まあ、いっか」と思いながら毎日暮らしていらっしゃいます。
しかし、ぐらぐらを甘く見てはいけません。グラグラの先にあるのは、「折れ」や「割れ」です。
椅子の構造と接合部分の仕組み
例えば椅子。
椅子は
- 脚4本
- 座面裏に近いところで脚どうしをつなぐ幕板(まくいた)
- 床面に近い箇所で、脚同士をつなぐ貫(ぬき)
- 貫どうしをつなぐ、とんぼ貫
- 背もたれの先端にあり、もたれる部分の背板や笠木(かさぎ)
- 座る部分の座板
これだけのパーツを、接合部分を作ってつなげ、1つの構造体になっています。
ざっと接合部分は、少ないもので10ヶ所から、多いもので30ヶ所の接合部分から構成されています。
このそれぞれの接合部分にほぞやダボという接合部分あるのです。
そして、その全ての接合部に接着剤が使用されています。
昔の家具は、オス側のほぞ、メス側のほぞ穴を加工し、いわゆる木工ボンドを充填して組み立て、紐で強くしばりあげて固定し、組み上げていました。
現在はもっと強い2液性の接着剤やウレタン系のボンドが出ており、強度も寿命も格段にUPしています。※接着剤の種類等については今回は割愛させていただきます。
テーブル・箪笥も同じ構造原理
テーブルも同じことです。
天板の下に、組みたてられた脚があります。
その脚も椅子と同様に複数のパーツを組み合わせて作られています。
箪笥も同じです。本体は天板、側板、底板、仕切り板、台輪、引出の前板、引き出しの中箱、などの組み立ての構造になっています。
椅子のぐらつき修理を自分で行うリスク
さて、ここからは、椅子を例に施工内容を御説明してまいりますね。
グラグラになった時、お客様がご自身でホームセンターでL字金物や接着剤を購入されて、修理にチャレンジされたりすることが、しばしばございます。
しかし、これにはメリットがないどころか、余計に症状を悪化させることになります。
例えばL字金物。
脚と、脚どうしをつなぐ幕板の接合部分がグラグラすると、隙間から接着剤を流し込み、パーツ同士が浮いている状態で(プレスして固めることなく)状態で、接合部分の補強のためにL字型の金物をビス(木ネジ)でぐりぐり留めていらっしゃいます。
言葉にすると正しいことのように聞こえます。しかし、上記の修理には二つのリスクがあります。
リスク① ビス留めによる構造劣化
ビスでもみつけるということは、構造の要である接合部分をビスで穴だらけにし、木材の肉厚を砕いて、薄くしてしまう行為、ということになります。
お客様のお言葉でよくお聞きするのが、「この家具くぎ使ってないからいい家具なんです」と仰ることがございます。間違いではありません。本来、よく乾燥させた材木で、精度高く接合部分の加工を行い、適正な量の接着剤を充填して組み立て、きちんとプレスして圧着したものであれば、30年たってもゆるまずに、しっかり使えているものもたくさんあるのです。
木工の世界では、髪の毛1本、2本分の隙間というのは、施工ミスで、アウト、というくらい非常に精度が求められます。
接着剤の適正量というのは、少なすぎればすぐに緩んでしまいますし、入れすぎると行き場を失った接着剤が、圧着に耐えられず、パンクして木材が割れてしまうこともよくあります。
徐々にプレスをしていって、ぎゅっぎゅっと締めていって、最後に接合部分がきっちり組まれたその隙間から、じんわりあふれてくるくらいがBESTです。
リスク② お客様が入れてしまった接着剤の清掃が工賃に反映
普通のご家庭では、接着剤を充填した後、上記のようにぎゅっと締めていくためのクランプやハタガネと呼ばれるプレス用の道具を持っていることはほとんどありません。
そうしますと、パーツどうしがしっかり接合されず、少し浮いた状態で、組み立てられ、隙間に余ったボンドがあふれて、そのまま固まっている状況であることがあります。
そうなると、まずは解体することが大変で、解体した後も、ほぞやダボについている接着剤を除去することは大変で、ほぞ穴やダボ穴に残っている接着剤を除去することも本当に大変なのです。。。。。
なぜ接着剤を除去するのか、ですが、接着剤の膜の上に接着剤を乗せても、接着材が本来の役目を果たすことができず、すぐに剥がれてしまうのです。従いまして、組み直しの最もキーになるのは、この「元の接着剤をしっかりと綺麗に掃除して除去すること」にあるのです。
ぐらついたり、バラバラになってしまった時点で組み直し修理のご依頼をいただくのが、コスト的にも納期的にも、最も合理的な判断なのです。
「割れ」と「折れ」の違いと修理可否の判断基準
ぐらついたまま使用し続け、接合部分が割れたり、折れたりすると、その工賃が格段に上がってしまうのです。
この割れたり、折れたりも修理を推奨できるかどうかのポイントです。割れると折れるは大きく異なります。
割れるというのは、木目に沿って割れることを差します。つまり木の繊維に沿って割れる、ということを表します。
次に折れる、というのは全く異なります。繊維を寸断するように分断することです。
例えば長い木材を床に置いてまっすぐ立てて、側面からキックやチョップ(わかります?(笑))をして、木を真っ二つ折るというイメージです。
木は繊維に沿って割れたところにしっかりと接着剤を入れて、接合した部材を、しっかりプレスすれば、骨折した部分の骨が強くなる人間の体のように、強度は十分なのです。
しかし折れてしまうと、繊維を切っていますので、切った繊維は元に戻せませんし、接着剤を入れても強度的には持ちません。
家具クリニックではお写真だけでの修理の可否も判別しています。見ているポイントは、この「割れ」なのか「折れ」なのかを選別して判断しているのです。
割れの場合は「再発の可能性はゼロではありませんが、修理は可能です。」とお答えし、
折れの場合は「十中八九再発しますので、それでも良ければ形は戻しますが、修理推奨は出来ません。」とお答えしています。
お客様からすると、どちらも「脚が折れた」と、という表現をお使いになるのも無理有りません。
しかし、私はこのようないくつかのポイントを見極めて修理の可否、推奨非推奨を判断しているのです。
椅子修理の料金目安と施工パターン
最後にいつもの「椅子の脚折れたのって直るんですか?直るとしたいくらで直るかザックリでいいから教えて」という日々のお問い合わせにどのようにお答えしているか、提示させていただきます。
➀通常の椅子の組み直し(接合箇所10個前後)の場合 税別配送費別15,000円×台数
➁ウィンザーチェアと呼ばれるような接合部分の多い椅子の場合 税別配送費別18,000円~20,000円
➂座板のみの接合や前脚のみの接合など、部分的な解体組直しができる場合 税別配送費別10,000円~12,000円
➃椅子の脚が割れた場合 上記➀~➂の工賃に含めて施工(髪の毛1~2本分の目違い(段差)は、お客様から御承認をいただいています。)
➄脚が折れた場合 修理不可で判断。コストをかけてでも直したい場合は脚のパーツを新たに作り、塗装まで施して何事もなかったかのようなレベルまで製作・リメイク。(過去案件の例でいきますと税別70,000円~150,000円前後になった案件が複数ございました)
タンスなどの場合は、本体も大きく取り回しが大変で、工数、納期が必要なため、税別配送費別50,000円~100,000円程度になることが多いかと思います。
家具修理は早期対応がコストと安全性を守る
さて、いかがでしたでしょうか?
やはり人間の病気と同じで、「あれ?おかしいな?」と違和感を感じた時に、そのまま放っておくのではなく、すぐに、健康診断、更には必要に応じて、迅速に適切に診療、施術することが大切なのです。
使い切って、傷み切ってしまっては、そもそも修理可否の問題がでたり、修理可能であったとしても、大きくコストが膨らんでしまって、お客様の御負担が増えてしまうことになるのです。
健康と同じように、「こんなことで診察してもらっていいのかな?」とか、「これくらい大丈夫!いちいち病院行ってたら、どれだけお金あってもキリがないわ!」のような考え方は必要ないのではないか、と思っています。
毎日触れて、使う家具だからこそ、道具としてのその機能を最大限便利に、そして何より安全に使っていただけるよう、サポートさせていただく想いでおります。
どんなに些細なことでも構いません。何かあれば、いつでもお気軽にお尋ねくださいね!
皆様からのお問い合わせ、ご相談、心よりお待ち申し上げております!
という訳で、今日はここまで。
また次回お会いしましょう!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!

