このブログでは、「家具でお困りの全ての方の、心、判断の基準の助けになる、リアルで有用な情報」を書かせていただいています。
家具の買い替え、家具の修理、とりわけテーブルの塗り替えや椅子の張り替え、椅子のぐらつき直し、椅子の塗装、箪笥や食器棚の蝶番の修理、ソファの張り替え、ソファの座面内のクッションの入れ替え、リメイクなど、幅広い守備範囲と経験、知識、でお客様をサポートさせていただいております。
毎日10件前後のお問い合わせをいただき、皆様の疑問、質問にお答えしています。そのリアルな情報を、できる範囲で皆様にご提供してまいります。家具修理ご検討の一助になれば幸いです。
椅子は「人生を共にした家具」
椅子の張り替えは、テーブルに続き、家具クリニックへのお問い合わせの№2です。
やはり、毎日毎日食事や団らん、家族が話し合う場で使う食卓ですから、テーブルも、椅子も、肌に触れるものとして、その傷みはリアルに体感されるのだと思います。
傷んでいる、といっても、使えることは使えますので、「いよいよこりゃダメだ」となるまではみなさん、とことんまで使い倒されて、私どもがお預りする頃は、ボロボロです 笑
それはそれはやりがいのある状態のことがほとんどです。
多くのお客様のお話をお聞きしておりますと、
「結婚の時に買ったから、かれこれ40年くらいかな」
「家建てた時に買い替えてからずっとやから、30年くらいかな」
とか、それはそれは人生の大半を共に過ごされてきた同士のようなものですよね。
椅子の張り替え相談はここから始まる|価格の話
さて、椅子の張り替えにつきまして、まずはお電話をいただくことが多いです。
メールやLINEを作ったり、写真を撮ったり、送ったり、ということが面倒ですからね。

食卓の椅子の張り替えを考えてるんやけど、だいたいいくらくらいしますの?
いやいや、現物も写真も見てないのに答えようがないよ、というのが普通のお答えかと思います (笑)
「見ないとわかりません」
と普通の業者のように答えないのが家具クリニック。
一つ一つひも解いていきます。

張り替えたいのは座面だけですか?背もたれもあります?

いや、座面だけ



そしたら、現物も写真も見ていないので、ちょっと幅を持たせてお伝えしますね。
ウレタンクッションも交換して、5,000円/mくらいの標準的な布を使って張り替えたとすると、だいたい一脚あたり、税別配送費別13,000円程度~2万円台後半くらいですね

え、そんなするん?結構するんやね。。。。。
だいたいこんなお話からスタートすることが大半です。
間違っても「めっちゃ安いね!!!」なんてことを言われることはありません(笑)
張り替えか買い替えかを判断するための考え方
ここからが、私どものこれまでの経験則上のエピソードや、お客様のお声をお伝えしながら、お客様の決断のサポートをするための時間です。
「張り替えるのか、買い替えるのか」
まずは確認するのはどこかにメーカーのロゴのシールなどが貼ってないかどうか、の確認からです。
そもそも修理を検討されるお客様は、ご自身がいいものを使っているので、捨てるのはもったいないんじゃないか、という不安と共にお電話をいただいています。
よくいただくお名前は、カリモク、マルニ、コスガ、キツツキ、カシワ、あたりです。
シールを見てもわからない、日進木工やカンディハウスなんかもあります。
相場のお話ですが、お客様が購入された当時は、食卓の椅子は税別2~3万円で購入されているケースが多いと思います。
しかし、昨今の円安による材料費の高騰や人件費の向上などで、国産の食卓椅子の単価は1脚あたり5~9万円前後になっています。
依然のブログ(「家具修理の予算はいくら?家具修理に許せる予算を専門家が解説」)でもお話しさせていただきましたが、当時の購入価格ではなく、やはり今同じものを買い替えたらいくらなのか、が判断基準になりますので、2万5千円~4万5千円位が修理のターゲットプライスですね。
昨今、量販店のリーズナブルな家具で溢れていますので、「家具なんて安いもの」という、どこか雑貨の延長線上にあるもの、という意識の方も多いのは仕方ありません。
でも、私たちは、木くずにまみれて、塗料にまみれて、暑い工場の中で働く職人の姿を毎日のように見ております。
真摯な気持ちで、品質にこだわる職人たちの、崇高な仕事を見ていると、家具はもっと世の中に評価されて欲しい、と強く思うのです。
椅子の張り替えは仕様と手間で価格が決まる
さて、少しそれましたが、椅子の張り替えも色々な要素があります。
座面のさまざまな縫製方法と装飾
座面であれば、
ベースの合板にウレタンを積んで、ぐるっと生地を巻きこみ、合板の裏にタッカーと呼ばれるホッチキスの芯の大きい版のような針で留めるタイプや、
座面の厚みを出すために、ぐるっと生地を巻くだけではなく、ミシンで縫製してまちを作り、厚く積んだウレタンにかぶせるカバーを製作する「四方まち縫製」、
まちが側面にだけある「横まち縫製」、また横と背中側にまちがある「三方まち縫製」などがあります。
また座面の、お尻に触れる部分を、「鏡面(かがみめん)」といいます。
この鏡面に4個程度のクルミボタンを取り付けて、ボタン締めになっているものもあれば、
座面の側面に、金属製の鋲(びょう)を打っているものもあります。
鏡面と側面の兼ね合い部分に、5mm程度の細いパイプが走っているような「パイピン」と呼ばれる装飾があったり、ブレードという飾り紐がぐるっと装飾されていることもあります。
ホントキリがないですよね(;^_^A
内部構造とウレタンの種類
内部につきましても色々です。
まず、ウレタン。
ウレタンも固めの硬質ウレタンチップとソフトウレタンがあります。
チップウレタンは、ベースで使うもので、大きく2種類の硬さがあります。
イメージで言うと、エクストラハードとハード、っていう感じです。
イメージ湧きますか?(笑)
ソフトウレタンは柔らかくて当たりはいいのですが、やはりへたりますので、ソフトウレタンがヘたっても、すぐにベースの合板にお尻が当たって痛くならないように、弊社の座面の施工は、必ず、合板の上にチップウレタンを入れて、その上にソフトウレタンを積層して、複数層にしています。
こうしたちょっとした、「これから先のこと」を考えて、コストをかけていたりするのです。
価格競争をしない理由と家具クリニックの姿勢
他社様と値段勝負をするのであれば、手間もコストもかかる、こうした工夫はできません。
私たちは、価格競争するつもりは全くありません。
よくメールやLINEでやり取りさせていただいていると、
「他社はこれくらいの値段だったからそれくらいにならないか」
「他社の値段と比べたいから見積が欲しい」
「見積をもらった後、他社にも見積を取って、見比べてから発注するか決める」
などと、仰る方がたまにいらっしゃいます。
結論的にはこうしたお話をいただいた時には、即座に御見積も施工も辞退させていただいております。
足りないかもしれません、私どもの想いや考え、施工に対してかけている手間や工夫、などはWEBでお伝えしております。
どんな考えだろうが、とにかく安い方がいい、というお気持ちも理解は出来ますが、そうした方は私どものお客様ではない、と明確に線を引かせていただいております。
他社にも見積取るから、安くしないとおたくに発注しないよ、ということで、安価な見積を引き出したいお気持ちも理解は出来ます。
でも、安かろう悪かろうのお仕事をしたくないのです。
いい仕事にはコストがかかるのです。
我々の、それぞれのお仕事内容は、どのように施工するのか、内容はほぼ決まっています。
ゆえに、材料費、施工方法から積算した金額は、基本的には固定されているのです。
基本的には現物を確認後に見積額が大きく変わることも、交渉いただいたから安くなることもありません。
交渉いただいていちいち安くしていたら、
「そもそもの値段はなんやったん?」とか
「もっと交渉したらもっと安くなったんかな?しまったな。。。」
みたいなことになると、逆にお客様に不快感や猜疑心を持たせてしまいます。
だから、私どもは常に、私どもが自信をもってお客様にお渡しできる施工内容を決めているのです。
だから職人との打ち合わせも早いのです。
座面は固めが良い、今までどおりが良い、少し柔らかくしてほしい、などのご要望があった場合、ウレタンをどのように積むのか、という裁量は、私と職人で全て決めます。
自分たちでウレタンを積んで座ってみて、打ち合わせで感じ取ったお客様の空気感や、ニュアンスを感じ取り、ご自宅での使用状況を想像し、決定しています。
ここが大切なノウハウなのです。
具体的な食卓椅子の修理単価一覧
参考までに私どもが食卓椅子の修理で提示する単価を列挙してみますので、今後の参考にしてみてくださいね!
<座面張替>(提示単価はいずれも材料+工賃)
➀坊主張(合板に巻き付けるシンプルな張り方) 税別12,000円~
➁横まち 税別15,000円~
➂三方まち、四方まち 税別18,000円~
➃ボタン締め・鋲打ち(単鋲・連結鋲共)・パイピン 税別3,000円~
➄座面内部のS字型バネやウェービングベルトの交換や補強 税別3,000円~
⑥座面内部の鼓型バネ(コイル型のバネ) 税別40,000円~(完全手作業の伝統工法)
といった感じです。まだまだありますが、主なものになります。
<背もたれ張替>
⑦背もたれ全体的に、椅子のフレームに直接張り込んでいる(生地が裏表) 税別20,000円~
⑧背もたれの中央部のみ裏表に生地が張ってある(生地が裏表) 税別16,000円~
⑨背もたれが籐(丸い穴が並んでいるように見える籠目編(かごめあみ)) 税別18,000円~
⑩背もたれが籐(籐が縦横格子状に編んである四ツ目編み) 税別18,000円~
⑪張り替えた籐は白木なので、元通り茶色に塗装する場合 税別6,000円
ざっとこのような感じです。
色々ありますね~(笑)
<構造にかかわる修理>
⑫椅子のぐらつき改善(解体組直し) 税別12,000円~20,000円
⑬椅子の脚カット(4本一式) 税別6,000円~
⑭椅子の脚先のアジャスターやプラパートのカット後の移植 税別3,000円~
⑮回転する椅子の回転部の修理(金属製回転盤の修理) 回転盤の部品 税別6,000円
⑯回転盤を交換する施工費 税別4,000円
⑰椅子のフレームを再塗装する場合 税別15,000円
これだけ網羅していれば、ほとんどの椅子のモデルはカバーできていると思います。
もちろん海外製品や、特殊なデザインのものはございますが、上記単価を足し合わせていけば、1脚あたりの合計金額が出る、とお考え下さい。
最後の判断基準|食卓セットとして考える
最後に、椅子を修理するかどうかの、最後の判断基準です。
食卓は多くの場合「食卓セット」「ダイニングセット」である、ということです。
セットなのです。
テーブルはまだ使えるけど、椅子が傷んでいるので、修理するか買い替えるか、となった時、色やデザイン、座面の高さとテーブルの高さがマッチしている、など、セットならではのメリットがたくさんあります。
椅子だけ買い替えると、使い続けたいテーブルとの整合性の問題が出てくるのです。
- デザイン的に合うと思ったけど、ちょっと違うな。。。。
- 色があっていると思ったけど、家で一緒に置いてみたら、結構違うな。。。。
- 高さも、お店の店員さんに確認してみたのに、実際に座ってみると高さが合わない。。。
そんなことが普通に起こってしまうのです。
私どもは買い替えを推奨する際、もしお客様がどこかで探された椅子が、テーブルと合うかどうか不安な時は、検討中の椅子のデータを送ってください、とお伝えしております。
色の違いは、並べないと、さすがに私でも判断がつきませんが、高さが適正か、デザインの兼ね合いは大丈夫か、など、可能な限り失敗しないようアドバイスさせていただいております。
さて、いかがでしたでしょうか?
今日も長々と語りつくしてしまい、読みつかれてしまったかと思います。
お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
また皆様とお会いできます日を楽しみにしております。
それではまた次回をお楽しみに!

