リメイクの実例 ~デスクをローテーブルへ 編~

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長年愛用したオーダーメイドデスクを「ローテーブル」へリメイク

今週は、リメイクの分かりやすい実例がありますので、ご紹介させていただきたいと思います。

お品は、以前オーダーメイドで作られましたデスクになります。ずっとお仕事でお使いになられてきて、お仕事をリタイアされるにあたり、何かの形で残せないか、ということでご相談いただきました。

元の形をきちんとお写真に収めるのを忘れていましたので、お許しください(;^_^A

また、オフィスを空けるために荷造もされていましたので、そんなお忙しい時に申し訳なかったな、と思います。

素材は恐らくけやき材かと思います。非常に重厚なもので、素晴らしい作りのものでした。このデスクを使用してローテーブルを作りたい、というご要望でした。

このデスクの脚周りは全て撤去して天板だけを使用し、手前の会議テーブルの脚を移植して取り付けられないか、というご相談でした。

パッとお写真を拝見しました限りでは、物理的には可能だと判断し、概算イメージをお伝えさせていただきました。少しご検討されてから、やはりこれまでのお仕事を支えてくれたデスクを何かの形で残したい、という想いが強くていらっしゃり、前向きにご検討いただくことになりました。

現地お打合せと搬出

引取と同時にお打合せさせていただくことになり、現地にお邪魔いたしました。手前の会議テーブルは、お写真では伝わらないほど大きく、また相当な重さがございました。重いものを運びなれている私たちでも、腕がぶるぶると震えるほどの重さで、かつ、エレベーターにも乗らないサイズでしたので、階段で降ろさなければならない、という状況でした。

もちろん、脚を取り外すことも検討したのですが、御購入されて搬入された際、解体することを前提とせずに、しっかりと接着剤とビスで固定されていましたので、現場で解体することは難しいと判断して、そのまま運ぶことにいたしました。

予算調整と最適な提案

お客様からは、概算イメージは理解しましたが、予算の都合、もう少し減額できないか、というご相談があり、『それであれば、会議テーブルの脚をわざわざ使用するのではなく、既製品のローテーブル用の脚を使用してみてはいかがでしょうか?』とご提案し、その方向で決定しました。

最終的なご依頼内容は

  • デスクを解体して天板のみにする。
  • デスクの脚周りや引き出しは撤去して処分
  • 取り出した天板は反りがひどいため、フラットになるように表裏を研磨して平滑にする。
  • 木口も塗装を剥離して研磨し、軽く面取りだけを行う。
  • 塗装は予算に合わせて減額するため、お客様の方でオイルやニス等DIYされる。
  • 会議テーブルは処分
  • 既製品のローテーブル用の脚をご提案・取付

以上の内容でご了承いただき、確定しました。

デスクを解体し天板加工へ

まずはデスクの解体です。

こちらも当然ながら、将来解体することを前提としていませんので、接着剤とビスで、ガチガチに取り付けられていましたが、何とか解体ができました。

デスクと天板はインロー(はめ込み構造)になっていて接着剤がきつかったのですが、何とかかんとか。。。。

やっぱり人が作ったものは、外から見ているだけではわかりませんので、苦労します。。。(;^_^A

天板裏のさね(はめ込みの接合部分)も撤去し、天板だけになりました。

撤去が全て完了し、天板の加工ができるようになりました。

天板の反り補正|巨大サンダーで表裏を研磨

先ほどお伝えしました通り、長年の使用により、乾燥が進み、天板がかなり反っていましたので、表裏を研磨する必要があります。

研磨はただ削ればいいという訳ではありません。削る厚みをなるべく少なくし、元の厚みをなるべく残した上で、使い心地のいい状態に仕上げなければなりません。

今回の研磨は弊社の取引先の木材加工業者さんに依頼をして、大きなベルトサンダーでの研磨をお願いしました。

幅120cmの巨大なロール型のサンダーが機械の中で回っていて、天板を通すと、面全体を一気に切削研磨してくれるすごい機械です。手で削っていたら手間もコストも膨大になりますので、とてもありがたい機械です♪

画像で天板の四隅が削られていて、中央の部分に塗装が残っているのが分かりますでしょうか?

これはつまり、天板が反っているので、四隅に先にサンダーが当たっている、ということです。

普通はこのまま何度も何度も削って、塗装が残っている部分が削れるまで何度も通す、とお考えになると思います。しかし、ここが業者さんの技術であり、木工のセオリーになるのですが、反りは、まずは高いところだけを落し、その部分を基準に、裏を先に基準点を出すのです。この機械は天板の下側が定盤という完全フラットなもので、それを基準に上側にサンダーが当たって上側と下側が平行になるように研磨していく機械です。

つまり、天板の裏側の基準点が出て、初めて表面をフラットに削れるということになります。画像は天板の表側で、それで基準点を出し、その基準点に従って裏側の基準点を出し、その裏側の基準点を確定して初めて表側を平滑になるように、つまり、塗装が残っている面が無くなるまで削り進めていける、という理屈なのです。

脚の選定と取り付け

無事天板の研磨が完了になりましたら、脚の取り付けです。

お客様には、業務用家具メーカー(レストランやホテルなどの施設で使用される家具の専門メーカー)のデジタルカタログを送らせていただき、その中から、デザインや寸法のお気に召すものをお選びいただきました。

こちらになります。

スチールの脚ですと、結構リーズナブルなものもあるのですが、やはり天板との兼ね合いから木の脚が良い、とのことで、オーク材のこちらのタイプをお選びいただきました。

天板との取り付け部分は、ご覧になっていただいての通り、色がついています。この部分はスチール製になっており、白、グレー、黒、木部はナチュラルとブラウンから選べるようになっています。

取付位置は、ベストな位置を私の方で検討させていただき、お客様にも確認の上、決定させていただきました。

完成と納品:けやき材の個性を活かした新しいテーブル

脚の納期も含めまして、一ヶ月弱程度と、少しお時間をいただきましたが無事に完成、納品させていただき、お客様にもお喜びいただけました♪

木のテーブルはいいな、と改めて感じる素敵なテーブルになりました。天板の木口が、赤茶と白の部分が入り混じっているのがお分かりになりますでしょうか?これは赤身(あかみ)と白太(しらた)と呼びます。白太は辺材(へんざい)に出てきます。辺材というのは、丸太の輪切りを想像していただきますとわかりますが、丸太の中心ではなく、外側の皮に近いところを差します。

今回の材はけやき材のため、そもそも赤褐色の色をしています。その赤身の部分は更に少し色が濃く、白太の部分との濃淡の差が目立っているのです。

先ほどのベルトサンダーの機械を通す画像にもありましたが、元の塗装の色は割と濃い目の飴色でした。

それは、この赤身の白太の色の差をなくすために、染色や着色をして白太に色を入れて全体をまとめているために、全体的に少し濃いあめ色になっている、という理屈なのです。

あとはお客様の方で、オイルなのか、ニスなのか、ゆっくり、じっくり、楽しみにながらお客様自身の大切なお品に育っていくことと思います。

リメイクに込める想い:お客様の「未来予想図」を形に

リメイクはリペアと違いまして、やはりある程度の量の打ち合わせ、メールやLINEのラリーが必要となります。

お客様の方では上の画像のような完成品の映像は、頭の中には描き切れません。だからこそお客様の頭の中、心の中にある未来予想図を、会話の中からしっかりとキャッチし、そのゴールの形であることは当然として、デザインや見え方など、これまでの経験から、格好いいもの、美しいもの、上質なインテリアに溶け込むものにする責任があると思っています。

もちろん美的センス、好みは人それぞれです。私がいいと思っていても、お客様が「ダサっ!」と思うかもしれません。そのギャップを埋めるのが会話であり、ヒアリングであり、私なりには家具のカタログや、雑誌に載っていてもおかしくない、逸品、一品に仕上げたいと思って取り組んでいます。

リメイクは、ほとんどのお客様が、想いを大切に取り組まれます。この素晴らしい取り組みにしっかりと伴走し、「やって良かった」と思っていただけるようこれからも頑張ってまいります。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

それではまた次回。

ありがとうございます。

この記事を書いた人

家具クリニック 矢野

リペアディレクター。直すが良いか、買い替えが良いか、専門家が正直にお答えします。家具を直す=心を治す。京都出身。商社・木工学校を経て現職。何はさておきお仏壇に合唱。二人の娘が”元気の源”。甘いものさえあれば生きていける。